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宮崎市佐土原町の内科医院です。

消化器・胃腸科が専門で、胃カメラや大腸内視鏡、腹部エコーでは鎮痛・鎮静剤を使い、苦痛の少ない検査を心がけます。
循環器や呼吸器、感染症やアレルギーも診療します。

また、介護支援専門員が介護や認知症のご相談に応じます。
なお、禁煙補助薬や男性型脱毛症治療薬も処方します。
平日8:30~12:30
14:00~17:30
水・土曜  8:30~12:30

(なお、午前中 8:30~9:00に胃カメラや腹部エコーなどの検査が入っている場合は、外来診療の開始は午前 9:00からになります)

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ご飯やパンなどの炭水化物を制限する「糖質制限食」をダイエット目的で実践する人が増えている。しかし、糖質(炭水化物)が分解されてできるブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源。むやみに減らせば当然、脳に悪影響がある。

◇糖尿病には糖質制限が必要
血糖値の高い状態が長く続くと、次第に血管が障害されるため、糖尿病の方では糖質制限が必要。細い血管が障害されると、失明の危険がある網膜症、人工透析が必要になることもある腎症、手足の感覚がまひする末梢(まっしょう)神経障害などが起こる。太い血管が障害されると、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞なども起きやすくなる。

◇低血糖とアルツハイマー病の関係
ただし、いくら糖尿病であっても、糖質制限が行き過ぎると逆に問題が起こる。
 糖尿病患者は血糖値を下げる薬を服用している場合が少なくない。この場合、血糖値が下がりすぎる低血糖発作を起こさないようにすることが重要。
 低血糖を起こしている高齢者の糖尿病患者は、糖尿病にかかっていない人と比べて、アルツハイマー型認知症発症の危険性が約1.6~2.4倍になることも分かってきた。脳細胞は加齢とともに減少する。糖質が脳のエネルギー源であることから考えれば、脳細胞が減少している高齢者の場合は、若者よりも低血糖が脳にダメージを与え、それが認知症につながるという理論は極めて妥当である。

◇「糖新生」は非常措置
最近は、健康な若年~中年層で、ダイエットを目的に極端な糖質制限を行っている人もいる。
極端な糖質制限で体内のブドウ糖の量が低下すると、ヒトの体は脂肪や筋肉を分解することで糖質を作り出し、それをエネルギー源にする。これを糖新生と呼ぶ。
確かに、脂肪や筋肉が分解されれば体重は減る。しかし、糖新生はあくまでも非常措置。停電時に自家発電機を稼働させるのと同じ。自家発電機を動かすには燃料が必要。
緊急事態を乗り切るために脂肪や筋肉を燃料に変えているわけだから、長期間続ければ当然体に異常が生じる。
脳の働きは鈍り、めまいや冷や汗が止まらなくなり、最悪の場合は低血糖発作で意識を失ってしまう。実際、糖質制限による低血糖発作で病院に救急搬送されたという事例も時折耳にする。

◇高齢者は「フレイル」の危険性が高まる
高齢者が極端な糖質制限食を行うと、若者と比べて一層危険が増大する。
 高齢者の多くは筋肉量が低下している。極端な糖質制限による糖新生が起きた場合、筋肉量はさらに低下し、著しく心身機能が低下した状態の「フレイル」に陥りやすくなる。
「フレイル」になると、そうでない人と比べて死亡率が上昇したり、風邪をこじらせて命の危険を伴う重度の肺炎にかかりやすくなったり、日常動作で転倒・骨折の危険性が増大したりするなどさまざまな悪影響が起こる。

◇総摂取カロリーの6割は糖質で
1日に必要なカロリー摂取量は、年齢や活動性、病気の有無などによって異なる。しかし、カロリー摂取量の約6割は糖質から摂取することが望ましいとされている。これは糖尿病の患者も同様。
具体的にいうと、健康な人の場合は、茶わん1杯分のご飯を1日3回食べるのが最も適切。活動量の低下している高齢者ならば1日に2杯程度でも構わないし、活動量が多い若年者ならもう少し多くても食べ過ぎとはいえない。やや肥満傾向がある人ならば、心持ち減らすのがいい。
いずれにせよ、昨今の糖質制限食ブームに対しては注意が必要だ。

毎日新聞より